思わぬ事態から中身を守る!
金庫の耐火・防水機能



金庫は現金や小切手、書類など、重要な物品を守ることが目的です。
特に、現金や小切手など紙素材のものを収納するケースが多く、耐火性能があることは大前提。開発設計時には厳しい耐火試験を行います。 また、金庫は水と戦う必要もあります。津波やゲリラ豪雨といった自然災害はもちろん、消火活動時の放水による影響も考慮して製造、設計が行われているのです。
今回は、金庫の耐火・防水性能についてご紹介します。


耐火性能について

耐火性能は金庫に求められる重要な機能です。
一般家庭では火災対策に用いられることが多く、あらゆるケースの火災を想定して作られています。日本で販売されている金庫の多くは、日本規格協会が定めるJIS規格の耐火基準に基づき耐火試験が行なわれています。


標準加熱による耐火試験

JIS規格での標準加熱耐火試験では、まず金庫内に新聞紙を入れ炉内に設置し、「最高温度927℃/1時間加熱」「最高温度1010℃/2時間加熱」と、規定された温度曲線に沿って炉内を加熱し庫内の温度上昇を測定します。 加熱時間終了後、金庫内の温度が低下したら取り出して、金庫内部の新聞紙の状態を見るのです。合格基準は以下のようになっています。

【合格基準】
一般紙用金庫
加熱試験中および炉内の冷却時の内部温度が177℃以下であること。また、収納物の変化は、新聞紙が判読できる程度の変色、劣化で収まること。

フレキシブルコンピュータディスク用
加熱試験中および炉内の冷却時、内部温度が52℃以下かつ、内部湿度80%以下であること。


急加熱・衝撃落下併用試験

ガソリンスタンドや化学工場では、急激に高温になる火災も想定されます。このような状況下での金庫内の安全性を確認する試験も行われます。
また、火災により建物が崩壊した場合や爆発などの衝撃が加わることも考えられます。過酷な環境にも耐えうるよう、急加熱と衝撃の2つの試験が併用して行われます。
この試験では試験体が破裂せず、施錠状態を維持できる。また、新聞紙が判読できる程度の変色や劣化で収まることが定められています。


自然災害や消火活動と関わる防水性能

火災発生時、水による消火活動を行うケースが多くあります。 そのため、放水を受けても収納物が無事である能力が金庫には必要です。
また、津波やゲリラ豪雨など、水が関与する自然災害も増えています。防水性能を有する金庫であれば、万が一そういった自然災害に巻き込まれたとしても、収納物に対する被害を抑えることができます。 ただし、本来の金庫の役割からするとオプション的な要素があるため、地理的条件などを考慮して検討すると良いでしょう。


試験合格表示をもとに金庫を選定すべき

金庫は一般紙だけでなく、資産価値が高いさまざまな物品を保護しています。
オーナー様が保護したい財産の種類によって、使用すべき金庫も異なります。耐火性能や防水性能の試験をクリアしている金庫はその表示がされているため、耐火・防水性能の確認は難しいことではありません。 金庫を選ぶ時、ひとつの指標にすると良いでしょう。