金庫のロックシステムの仕組みと種類を知ろう



ダイヤル式からICカードロック式、顔認証式まで、今や金庫のロックシステムはさまざまなタイプから選択できる時代になっています。 ただし、新しければ優れているというわけではなく、どの方式にもそれぞれ長所と短所が存在します。 ここでは、用途に合った金庫を見つけるために、金庫のロックシステムについてご紹介します。

錠前の種類と仕組み

金庫を選ぶ際にはどんなロックシステムになっているのか、安全性はどうか、使いやすさはどうかといった点を踏まえて検討することが必要です。そのために、ロック=錠前の種類と仕組みを把握しておきましょう。
なお、金庫についているものは「錠」、「錠」を開けるためのキーが「鍵」、錠と鍵を合わせて「錠前」と呼ぶことを覚えておいてください。


【ダイヤル式】

ダイヤルを左右に回し、設定された数字で止めることを何度か繰り返して解錠するのがダイヤル式です。
長年使われてきた方式だけに信頼性は高く、電源や電子部品を使用しない機械仕掛けである分、壊れにくいと言えます。ダイヤル式の番号は通常は製造時点で決められるものですが、高性能な製品ではダイヤル番号を変更できる100万変換ダイヤル錠などを備えていることもあります。


【テンキー式】

1~10桁などで自由に暗証番号を設定し、数字をプッシュして解錠するのがテンキー式です。
暗証番号を変更できるため、管理者が変わった場合には新しい番号を設定するといったことにも対応できます。操作が容易な反面、「暗証番号探り」をされやすい欠点もありますが、誤った暗証番号を一定数入力すると15分間はキー操作を受け付けないといった対抗措置を備えている製品もあります。


【シリンダー式】

鍵を挿入して回せば施錠と解錠ができる、シンプルな錠前です。
キー式とも言います。ダイヤル番号や暗証番号を覚える必要がないという点を長所と捉える人もいます。


【マグロック式】

マグネットキーという磁石の鍵に記憶されている磁気パターンを照合して解錠する錠前です。
錠にキーを当てるだけで簡単に開きます。鍵の複製を作ることが困難で、構造的にピッキングを受け付けないのが特長です。


【ICカードロック式】

ICカードなどをリーダーにかざして解錠するのがICカードロック式です。
おサイフケータイやSuicaなどにも使用されている「FeliCa(フェリカ)」に対応し、社員証などのICカードや、手持ちの携帯電話、スマートフォンを登録して鍵として使用できるタイプの製品が主流となっています。


【指紋照合式】

指を指紋リーダーに当てる、またはスライドさせて指紋認証を行い、解錠するのが指紋照合式です。
10指程度の指紋が登録できるのが一般的です。指紋が鍵となるため、鍵の紛失や盗難、閉じ込め、暗証番号忘れといったトラブルが起きることはありません。


【顔認証ロック式】

顔認証システムを利用し、専用カメラで顔を識別して解錠するのが顔認証ロック式です。
最近では本人非認証率は1%、誤認証率は0.0001%、認証速度は1秒未満といったスペックの性能が実用化されています。いつ誰が解錠したのかという履歴情報を記憶できるなど、多機能化も進んでいます。


【マルチロック式】

テンキー、指紋照合、ICタグなどのロックシステムからユーザーが1つ選んで使用できるのがマルチロック式です。


安全性が高いのはどれ?

鍵が必要なく、登録した本人以外には解錠する手立てがない指紋照合式や顔認証ロック式は最も安全性の高いロックシステムでしょう。
しかし、システムが複雑化すればそれだけ故障などのリスクが増すとも言えますし、電源も必要なので、災害などで電気がストップした場合のことも考慮すべきかもしれません。 そう考えればシンプルさが信条であるダイヤル式などの魅力が増して見えてきます。それぞれの特長を充分に理解することが大切です。

また、最適なロックシステムは金庫を使うスタイルにより変化します。例えば、顔認証ロック式の金庫は最大数百人の顔を登録できる製品が登場しています。このような金庫を使用する場は、曜日や時間帯によって金庫管理者が変わる大型店舗や総合病院などが適しているでしょう。
どのロックシステムの安全性が高いかは、どのような用途やシーンで金庫を使うかにも依るということを考慮して判断してください。